大阪地方裁判所 昭和46年(ワ)332号 判決
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〔判決理由〕一、事故
請求原因第二一の事実は当事者間に争いがない。
二、責任原因
<証拠>によると、被告は、事故当時加害車を所有していたこと、被告の工事の下請をしていた大淵千秋は、被告の工事を同様に下請していた山本に運転手兼職人として雇われていた山村ひとしと共に、山村の運転する加害車で和歌山の工事現場まで行く途中、大阪市内の南の繁華街で山村が加害車を停止させて用事に行つたので、大淵が加害車の助手席に乗つたまま待つていたこと、ところが吉川正明(当時二九才)およびその友人の平田稔(当時二六才)が停止中の加害車をいわゆる白タクと間違え、大淵に対して玉出まで乗せていくよう要求したので、大淵が白タクと違うからといつて断つたところ、平田がゴミ箱のふたで大淵の顔面を殴り、つばをはきかけ、胸倉をつかんで車外に引張り出すなどの暴行を加え、大淵が車外で平田ともみ合つているうちに吉川が加害車の運転席に乗り込み、エンジンをかけたので、大淵は助手席に飛び乗つたが、平田も同時に後部座席に乗り込んだこと、吉川は、そのまま加害車を発進させ、大淵が運転をやめてくれといつたが聞き入れず、後部座席の平田も「何をがたがたいうんや」などといつて脅し、そのまま進行を続けるうち本件事故が発生したことが認められ、右認定を左右しうべき証拠はない。
以上認定の事実によれば大淵は、吉川や平田に暴行、脅迫を加えられて吉川が加害車を勝手に運転するのをとめることができない状況であつたもので、被告は、事故当時、吉川および平田の行為によつて加害車の運行支配を失つていたものと認められるから、被告は、加害車の運行供用者としての責任を負わないものというべきである。
また右認定の事実によれば、吉川の加害車運転行為は被告の業務の執行につきなされたものということもできないから、被告は、使用者としての責任を負うこともないというべきである。
(山本矩夫)